日本人の死の意識について、現代オランダの哲学者が考察した論文があります。ヘンク・オースターリング著「日本の死の倫理と意識 無の肯定」で、『理性の危機? 文化の観点』(1992年 Van Gorcum出版)に収められています。著者はロッテルダム生まれ。ライデン大学、エラスムス大学で哲学・日本語を修め、大学での哲学・美学の教授や数多くの著作活動の傍ら、様々な委員会で活躍されています。一方、氏は日本で剣道を学び、剣道のオランダチャンピオンにもなっています。
オースターリング氏は、剣道を通した日本の伝統的世界の経験に基づき、日本の文化にとてもユニークな視点を持っておられます。以下、氏の論文を要約して紹介します。
<要約>
現代日本は先端技術を駆使する一方で、古い儀式や習慣を持続しており、西洋の基準からすると文化の折衷主義、経済の便宜主義とみなされますが、それはより深い根を持つものです。 |
|