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『BETOVERD DOOR VROUWEN』
(女たちに魅せられて)
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス |
フローニンゲル美術館は今回、世界的に有名なイギリスの画家ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスの作品を概観するとても大きな展覧会で、再びインターナショナルな関心を集めています。
この展覧会のために、彼の作品は、イギリスやアイルランドから、オーストラリアや台湾からさえも、ここに集められました。これはロンドンの英国王立美術院とカナダのモントリオールにあるモントリオール美術館の協力によるものです。
そして、最初の3か月で訪問者数が既に10万人を超えるという、ユニークな事態を引き起こしています。美術館は、もし尋ねられれば、5月3日の終了までにウォーターハウスの作品の愛好家たち4万人を更に歓迎したいと答えるでしょう。
ローマで生まれたジョン・ウィリアム・ウォーターハウスは、その後家族と一緒にイギリスに移住し、絵画や彫刻、その古典的な作品への関心を発達させました。ロンドンで1870年に彼はロイヤル・アカデミー(英国王立美術院)に入学し、その後すぐに有名になります。彼はシェイクスピア、ボッカチオ、テニスン、ダンテなどの作家や詩人が書いたものから、よくインスピレーションを得ています。女性、水、自然、愛と死に対する熱情への称賛。人はその中に秘められた意味を見い出し、それは彼が黄泉の世界に魅されているからとみなしています。
しかし、もしかするとこの偉大な画家は、専門家の間では「ウォーターハウスの少女」で最も良く知られるようになったのかもしれません。
フローニンゲル美術館は次のように話しています。
「最近ウォーターハウスは『ラファエル前派』と見なされていますが、彼は新しい時代の代表でもあり、19世紀後半のパリで芸術刷新の興奮を十分意識していました。彼は神話や伝説の魅惑的な世界を好みましたが、詩や音楽、フランス印象主義のより自由な色調からもインスピレーションを得ています。
展覧会を見に行った日も、多くの人で込み合っていました。しかし、このような大きな展覧会でよくあるように、3、4列目からしか見れないというようなことはなく、展示された作品を思う存分楽しむことが出来ました。
フローニンゲル美術館を訪れた時はいつもそうするのですが、今回も他の展示を見て回りました。美術館の中心はフローニンゲンのための特別な場所で、まず
Ploegpaviljoen(プルーフ・パビリオン:Ploeg は1918年にフローニンゲン市で設立された芸術家集団)へ行きます。それからその隣の美術館の幅広いコレクション、考古学の展示、造形芸術、デザイン、写真、モード
..... などが展示されているところへ行きます。そこには、特にフローニンゲンの豊かな歴史についてもっと知ることが出来る展示室もあります。(トランキール作成の訪問写真集へはここをクリックしてください)
この日の午後は、フローニンゲル美術館での鑑賞だけではありません。ウォーターハウスの展覧会と並行して、Martiniplaza(マルティーニプラザ)で開かれている「Schoonheid
is van alle tijden(美はすべての時代に)」というタイトルの展覧会にも行きます。
フローニンゲル美術館での冬季展覧会、このウォーターハウス展のスポンサーでもある、GasTerra(ハステラ:天然ガスを取引する国際企業)のアイデアによる写真展です。
この会社はこれまでも、このような大規模な展覧会を以下のような活動で後援し、推進してきました。「Het geheim van Rusland(ロシアの秘密)-
Ilya Repin(イリヤ・レーピン)」では、様々な後援活動の中でもとりわけ、レーピンの絵からインスピレーションを得た10人のロシアの詩人と10人のオランダの詩人による詩集を作成しました。
「In dienst van Diaghilev(セルゲイ・ディアギレフのために)」が、当時9万人の訪問客を美術館に惹きつけた時も、GasTerra
は、ピカソ、ゴンチャローワ、バスクト ..... 、そのバレー団の舞台美術を手掛けた芸術家たちの作品を用意しました。そして人々は世界で5指に入るバレー団が公演するバレーフェスティバルを楽しむことが出来ました。
「Russische Sprookjes(ロシアのおとぎ話)」、ヴルーベリ、リョーリフ、ヴァスネツォフ、カンディンスキー ..... の作品と合わせたそのテーマ展に際しては、この会社はそのオープニングの月に、オランダ語訳のロシアのおとぎ話の本をオランダの病院に入院中の子どもたちにプレゼントしました。
そして今「Betoverd door vrouwen – John William Waterhouse」では、多くの点で驚異的な写真展をマルティーニプラザで開催しています。ウォーターハウスの作品をこのような形で見ることが出来るのは、初めてのことです。GasTerra のコミュニケーション部長 Ben Warner(ベン・ウォーナー)氏のアイデアによるものです。
『Schoonheid is van alle tijden』
(美はすべての時代に) |
「ウォーターハウスの絵の女性たちの美しさや構図の美しさを、今日のフローニンゲンの女性たちをフローニンゲン市やその周辺を背景にして、見せましょう。」とベン・ウォーナー氏は GasTerra を代表して、フローニンゲン市の写真家 Bert Bartelds(ベルト・バルテルズ)氏に依頼しました。
そんなに容易い注文ではありませんでしたが、バルテルズさんはそのアイデアをすぐに快諾し、彼のチームとその仕事に取り掛かりました。
同時にその活動の中で、Rayisa Warner(ライザ・ウォーナー)さんにより、IT の学生 Alex Bondarchut(アレックス・ボンダルチュク)さんを技術アシスタントとしてデザインしたウェブサイトが作られました。
フローニンゲンの女の子たち。しかしその美しい女性たちの中から、モデルの仕事に意欲のある候補者が十分に見つけられるのか、という疑問がまだ残っていました。それで、まず最初にダハブラット・ファン・ヘット・ノーデンに、フローニンゲンで生まれた、あるいは住んでいる、又は働いているという条件で、モデルの仕事をしたい女性を求める広告を出しました。
すぐに、それは全く問題でないことが明らかになりました。72人の候補者が新聞の求人に熱意を持って応募しました。2回の短いフォト・セッションの後、この中から13人の女性が、ウォーターハウスの絵の中の神話的神秘的な女性のための写真モデルとして選ばれました。同時に2人の男性モデルも選ばれました。
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『シャルロットの女』の舟は、スタジオで大工のルーカス・プルンテルさんによって、同じサイズに作られ ...
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... ヒュラスが不運に見舞われるニンフの泉は、2万5千リットルの水を使ってスタジオの中に設置されました ... |
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... ヘアスタイルとメークは、ボルカ・フローレンシウスさんの信頼できる手によって ... |
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(写真をクリックすると画像が大きくなります) |
2008年10月には、実際にそのアイデアを実現するための「recompositie(再構成)」と名付けられたプロジェクトをスタートさせることが出来ました。
GasTerra は話します。
「フローニンゲンのモデルたちは、オリジナルな絵に出来るだけ忠実な形で配置されました。もちろん、ウォーターハウスは自身の考えと芸術的な意図によって描いています。それは写真への翻訳の限界を示します。実際のところ、絵の中の光もフローニンゲンでは得られないのですが、バルテルズと、彼と一緒に仕事をしている写真編集者のKarel Bordewijk(カーレル・ボルデヴァイク)は、光の雰囲気をそれにとても近いものにしました。ヘアスタイルはメークのBorka Florentius(ボルカ・フローレンシウス)によって、細かいところまで注意が払われ、その形が保たれました。衣装はレネー・ルチェが、現在手に入れられる服を修復して拵えました。
ウォーターハウスは、とても入念に仕上げられた王座や様々な動物、特に自然の背景や歴史上の人物たちに相応しいアクセサリーのような、数えきれない象徴や付加的なイメージを使っています。それらはスタイリストのAnne-Marie Richart(アネマリー・リシャール)によってオランダ中を探して集められました。背景や場景としての自然は、フローニンゲン市とその州、そのすぐ周辺から、慎重に探されました。」
20点の写真コンポジションは、マルティーニプラザのダイレクター、ハンス・ファン・デル・ゼー氏と彼のスタッフのとても熱心な共同作業によって、そのインスピレーションの元であるフローニンゲル美術館での『Betoverd
door vrouwen』と同じ期間、マルティーニプラザで展示されます。美術館の館長 Patty Wageman(ペティ・ヴァーヘマン)氏とPRスタッフの
Josse Selbach(ヨセー・セルバッハ)さんがこれに協力しています。
両方の展覧会は2009年5月3日まで開催されています。
どのようにしてこのユニークな写真展が生まれたかについて書かれた本、『Schoonheid is van alle tijden』を紹介したページへは、ここをクリックしてください。
興味津津の20点の素晴らしい写真コンポジションへは、ここをクリックしてください。
GasTerra については、ここをクリックしてください。(英語)
日本からフローニンゲンを訪れ、『ウォーターハウス回顧展』をレポートしている美術情報ブログ
「弐代目・青い日記帳」へは、ここをクリックしてください。
資料・写真の提供:
*『Betoverd door vrouwen - John William Waterhouse』
フローニンゲル美術館より送っていただいた写真を掲載させていただきました。
<写真1>『ヒュラスとニンフたち』 1896 - oil on canvas - 98,2 x 163,3 cm
© Manchester City Galleries
<写真2>『ホノーリウス帝のお気に入り』 1883 - oil on canvas - 119,3 x 205 cm
© Art Gallery of South Australia
<写真3>『シャロットの女』 1888 - oil on canvas - 153 x 200 cm ©
Tate
*『Schoonheid is van alle tijden』
GasTerra、特にコミュニケーション部長の Ben Warner氏 の協力援助により、このページが作成出来ましたことを深く感謝いたします。
又、特別に Bert Barelds 氏撮影の写真コンポジション20点を掲載使用させていただきました(別ページ:『フローニンゲンの John William Waterhouse』)ことも、ここで重ねてお礼申しあげます。 掲載の全写真: © GasTerra
© 2009 Trankiel
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