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私達建築家にとって我々がつくったものは皆子供だと考えています。
その子供の一人が遠く離れた異国を旅行中、迷子となり、あわや命も落としかねなくなった時、フローニンゲン・シーポーツ、ノーダーポールト、そしてその他関係者のご努力により又元気になって旅を続けられることになったことを知り、大変嬉しく思っています。

どうか末永くこの子供を可愛がって下さい。

有難うございました。

槇 文彦

 



  マキ・パビリオン、私たちの港の素晴らしい獲得物

   ハーム・ポスト、フローニンゲン・シーポーツ所長




復元されたアート作品

デルフザイル港を飾る

マキ・パビリオン、フローニンゲン・シーポーツが購入

ノ―ダーポート(エネルギー/マリティーム)校に渡す

 1996年秋、水路と深く結びついた州都フローニンゲン市で、シアター・フェスティバル「A Star is Born」が開催されました。そこでは東京の建築家、槇文彦氏がデザインした浮かぶパビリオンが、ひときわ光彩を放ちました。
 当時から既にその基にあった考えは、二通りの方法でその役割を果たすことが出来るというものでした。つまり、観客が岸辺から見る舞台として、又人々がその上に設えられた席から上演を楽しめる浮かぶ観覧席として、です。

 建築家自身、その作品のアイデアを次のように述べています。

 「私は、これまでの建築の中で誰も見たことがないものを作ろうと試みました。何故なら、誰もがそのようなものを本能的に求めていると思ったからです。
私は雲の上のように見えるパビリオンを作りたいと思いました。
浮かぶオブジェでなければならないことが前もって決まっており、雲がそれに相応しいと考えました。」
   

 残念なことに、大変好評だったマキ・パビリオンは、その後かなりの速さで傷みだしました。フローニンゲン市は、それに相応しい場所を用意出来る買い手を探し始めました。

 
 エームス川(河口) - Johannes Doornbos ©


 水と雲。それは港町としてのデルフザイルに、航海一般に、とてもよく似合います。フローニンゲン・シーポーツもそのように考え、その浮かぶアートオブジェをシンボル的な価格で購入することにしました。フローニンゲン市は、それに厳格な条件を付けました。当時フローニンゲン市の市民やフェスティバルの訪問者たちを魅了したパビリオンを、元の状態に戻すということ。
 この条件は快く受け入れられ、傷んだパビリオンは2014年12月、ヘゥフェルマン・イビス社によって完全に修復されるため、ファームスマー港(デルフザイル港すぐ近くの小さな港)に移されました。
 
 それだけではなく、最初からの構想も又満たされます。その機能は、より多くの目的のために拡げられようとしています。

文化環境

 「文化と経済は互いに密接に結ばれています」と、フローニンゲン・シーポーツ所長(ディレクター)ポスト氏は語ります。「地域や市が良き芸術・文化環境を定着させることを必要としているのは確かです。そうしなければ、地域として人々は将来の新しい企業や若い才能に興味を持たなくなってしまいます」と続けます。「興味をそそる文化ポリシーが、私たちの港の新しい活動のための魅力的な要因となるでしょう。」
 だから今、マキ・パビリオンなのですか?
 「はい、私たちはこの高名なアート作品をきちんと手入れし、蘇らせることが出来ました。マキ・パビリオンはここに素晴らしく似合っています、私たちの港は本当に素晴らしいものを得ました。」

その時

 2月13日金曜日正午、ノーダーポート(以前の「アベル・タスマン商船学校」)のすぐ近くで、マキ・パビリオンが公式に手渡されました。そこには、フローニンゲン市の助役の一人パウル・デ・ロ-ク氏、フローニンゲン美術館館長アンドレアス・ブルム氏、ノーダーポート校長ヤニー・フーンセ氏、フローニンゲン・シーポーツ所長ハーム・ポスト氏と、学生たちが出席しました。
 これから、その格別な芸術作品は、学生たちのボート発着地としての実用的な機能だけでなく、フローニンゲン・シーポーツとノーダーポートの関係マネージメントにも利用されます。その他特に、次のデルフセイル(DelfSail:デルフザイルでおよそ5年ごとに開催される帆船祭)のイベントでの活躍が考えられています。DelfSailには、何十万人もの大型帆船の愛好者や多くの船が、又デルフザイルにやって来ることでしょう。
 文化、経済、教育とフローニンゲン・シーポーツが、マキ・パビリオンの購入によって、とても素晴らしい方法で結びあわされます。

 
救命ブイと一緒に




ハーム・ポスト氏
  フローニンゲン・シーポーツ所長
フローニンゲン州北部の二つの港を管理しているフローニンゲン・シーポーツの活動は、かなり衆目を集めてきました。
特にエームスハーフェン(デルフザイルの北西、エームス川が北海に注ぐところに位置するオランダ北部最大の港)、又デルフザイル港も、数年来強力に発展してきました。

フローニンゲン・シーポーツは、経済的な発展だけに関心を持っているのではなく、経済とエコロジーを共に発展させる挑戦にも真剣に取り組んでいます。(環境にやさしい)港湾観は、これを基に形成されています。

もっと知りたい→ Groningen Seaports


 

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  槇 文彦 氏

短い紹介
 

 1928年東京都に生まれる。東京大学工学部建築学科を卒業後、アメリカのクランブルック美術学院及びハーバード大学大学院の修士課程を修了。帰国して自身の会社を設立することに先立ち、SOMやセルト・ジャクソン建築事務所、セントルイスのワシントン大学のキャンパス・プラニング・オフィスに勤務する。

 それと並び、滞米中にはハーバード大学やワシントン大学で都市デザインを教え、帰国後は1987年まで東京大学教授を務める。又、アメリカやヨーロッパでも講演を続けている。都市デザインをテーマにした数々の論考を集めた 『Nurturing Dreams』をMITプレスから出版(2008年)。

槇 文彦氏は又数々の賞を獲得、国内外で高い評価を得ています。
 1988年 イスラエルでウルフ基金賞
 1990年 トーマス・ジェファーソン建築賞
 1993年 UIA(国際建築家連合)ゴールドメダル
      プリンス・オブ・ウェールズ都市デザイン賞(ハーバード大学より)
 1999年 アーノルド・ブルンナー記念建築賞
      高松宮殿下記念世界文化賞(建築部門)

そして多数の受賞の中でも、最も名誉あるものは疑いなく:
 1993年 プリッカー賞(建築のノーベル賞と考えられている)
 2011年 AIAゴールドメダル(アメリカ建築家協会から)


もっと知りたい→ MAKI AND ASSOCIATES(槇 総合計画事務所)



>>写真集 と デニス・シャープ、マキ・パビリオンについて

>>オピニオン:マキ・パビリオンは多くの良いものを生み出せる



 

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