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暖かな Winschoten で 100キロマラソン世界選手権

薔薇の町で一万人がトップスポーツを楽しむ
 
 ひと気のないDelfzijl(デルフザイル)のバスターミナルに着いたのは、午前8時を少し過ぎていました。3つほどのバス停に人が少し、目的地に向かうバスを待っています。ここから Groningen へ運ぶ電車にも、土曜のこの時間にはそんなに多くの乗客はいないようです。今日は Run が開催される日なので、私たちは Winschoten 行きのバスを待っています。疑いなく100kmの戦いがハイライトの、世界選手権とヨーロッパ選手権に参加するため、多くの国々からたくさんの選手が、その薔薇の町(Winschoten)にやって来ています。レースを又オレンジ色(オランダの色)が彩るだろうと思われるのは、この距離をオランダ人で争うオランダ選手権も行われるからです。
 乗車口で運転手から、Run のため Winschoten のいくつかの通りが通行止めになっているので、そのバス停では降りられない、と告げられます。「そこまで少し歩かないといけませんよ。」 100kmウルトラマラソンのスタートまでには充分時間があるので、全く問題はありません。
 バスの中で、昨日のプレスミーティングと、その後夕方に Winschoten の古い街の中心で行われた国旗パレードについて、話し続けます。
 
プレスミーティング
 
それは、Stadskanaal(スタツカナール)の Pagedal(パージェダル)会議センターで開催されました。ここの休暇公園の中で、大会期間中、選手やその同伴者が宿泊しています。その中には日本からのチームもいます。
 そのミーティングは、IAU(国際ウルトラランナーズ協会)のコミュニケーション担当理事 Nadeem Khan 氏による司会で進行します。彼は参会者を心から歓迎した後、この100km戦での新しい参加者記録を誇りを持って話します。34カ国から280名以上の参加者というのは、かつてなかったことです。
 Khan 氏による短い開会の言葉の後は、ホストである Oldambt(オルダムト)自治体の Pieter Smit 市長の挨拶です。
 
 市長も又、第36回 Run Winschoten へようこそ、100kmの世界選手権、ヨーロッパ選手権、オランダ選手権へようこそ、と皆を心から歓迎します。市長は、この競技が彼の自治体内で開催され、とても多くのプロフェッショナルで熱心な選手たちを迎えることが出来たことを誇りに思う、と話します。
 彼は又、ここに集まった人たちが今この国でとても美しい地域の一つ、フローニンゲン東部に滞在していることを知らせます。
 Smit 氏自身、長距離には挑戦しませんが、この夏中10kmのためのトレーニングをしてきたので満足出来るタイムを出したいと思っています。そして、市民の皆がとても美しく家々や通りを飾っていることを称賛します。
 市長は最後に自治体を代表し、次の言葉で締めくくります。「You are very welcome!」
 
<右> Pieter Smit 市長 
 
 
<左から右へ> Jan Vandendriessche 氏、Liesbeth Jansen さん、Pieter Smit 市長
Nadeem Khan 氏、Dirk Strumane 氏、Brian Keaveney 氏
 
 それからマイクは IAU 会長 Dirk Strumane 氏に渡されます。彼はまず、100kmウルトラマラソンが IAU の中で重要な役割を果たしていて、IAAF(国際陸上競技連盟)によってスタンダードな距離として認められ、公式記録とされていることを話します。このことは、IAAF のウェッブサイトにも載せられています。Strumane 氏:「ジャマイカの奇跡のスプリンター Usain Bolt やその他の選手たちと並んで、私達が思っている以上によく知られているのかもしれません。」
 彼は又、100km世界選手権がこの距離の促進と発展のために重要であることを述べます。そして第2の重要なステップとして、WMA(世界マスターズ協会)との関係を挙げます。協会からは Brian Keaveney 氏が、オブザーバーとして Winschoten に来ています。この実りある協力のおかげで、IAU 世界選手権と WMA 世界選手権がここで同時に開催されます。これは今回で2度目です。
 最後に Strumane 氏は、ここの主催団体へ称賛の言葉をおくります。特に IAU のパートナーとしての Winschoten の重要性を強調し、これを大変評価していることを話します。今再びここで、理由なく第9回ヨーロッパ選手権と第6回世界選手権の前夜を迎えているのではありません。「際立ったやり方で開催されることが、その理由の一つです。選手たちも Winschoten に来ることを、とても素敵だと思っています。彼らに開催地を選ばせたなら、きっと毎年ここに来ることを選ぶだろうと思います。」と彼は語ります。
 
 今回初めて Run に参加した WMA 副会長の Brian Keaveney 氏は、これが最後の勤めと話しているRun レース理事の Liesbeth Jansen さんへ、祖国カナダからプレゼントを持ってきました。彼は集まった記者たちに、WMA の中でこのウルトラマラソンが最長距離であること、そして「マスターズ」には40歳以上の男子と35歳以上の女子が参加しており、ここでの世界選手権の勝利者には特別な WMA メダルが授与されることを知らせます。
 
 今年でお別れすることを告げ、プレゼントを受け取ったLOCレース理事の Liesbeth Jansen さんは、第36回の Run の参加者は500~600名になると話します。又そのことからも Winschoten が多くの人々にとって、本当に「the place to be」であることが明らかになっている、と話します。明日も又全部で350名のボランティアが活動しますが、その素晴らしい働きのおかげであることを言っておかねばなりません。彼女にとってこれが最後の年になりますが、これからも多くの人たちが Run に関わり、大切にしてくれることでしょう。Liesbeth さんは又、情熱的な人々による新しいチームを、心から願っています。
 
 最後は IAU 組織担当理事 Jan Vandendriessche 氏で、彼も又 Winschoten の主催団体への賛辞を惜しみません。特に、ここで大きな経験が得られることを称賛します。
 
 
 
 恒例の質疑応答で、Liesbeth Jansen さんは、彼女の後継者を見つけるのが容易でないこと、二人に継いでもらうかもしれないことを、話します。明日気温の上昇が予想されるが、医療の視点からどのように備えているのか、という質問には、3名の医師をコースに配置しており、もちろん赤十字による応急処置も用意されている、と答えます。授賞式の時間とその長さについては、いつも通りで、他のメダルの授与が終わった後スポーツホールで8時15分から始まるが、今年も全てが11時半には終わるよう期待している、と答えます。
 
 とても残念ですが、その時間まで居られないので授賞式には参加できないでしょう。
 
 Dirk Strumane 氏が再び、IAU が目標を持ち発展していることを述べ、数字を用いて説明します。これまでに212カ国が IAAF に属していますが、その中の50カ国が IAU のメンバーです。ですから、まだ進むべき道のりがあります。中国が興味を持ち、又首長国、クウェートやカタールのような国々は既にはっきりと関心を示しています。南アフリカとナミビアを除いたアフリカ大陸は、実際のところまだ白地図ですが、ここでも又近いうちに幾つかメンバーを拡げる可能性がかなり高い、と IAU は見ています。
 
 
  7名の選手たち <左から右へ>

Eleanor Greenwood、イギリス

Meghan Arbogast、アメリカ

Gloria Vinstedt、スウェーデン

Jonas Buud、スウェーデン

中台 慎二、日本

Giorgio Calcaterra、イタリア

Daniël Oralek、チェコ
 
 続いて、100kmに参加する7名の選手たちの会見の場が設けられます。その中に2人のタイトル保持者、イギリスの Eleanor Greenwood と日本の中台慎二がいます。まず中台選手にマイクが渡され、彼はこの選手権のために一生懸命トレーニングをしてきたこと、又個人記録をここで更新できるだろうと話します。しかしそれは又、試合中の天候次第というところも大いにあります。高温が予想されているが問題なのでは、という問いに、中台選手は笑って答えます。「高ければ高いほどいい!しかし ... 雨は苦手です。」
 チームについて、今回参加する6名は、3名のプロがいた昨年のチームとは比較出来ない、と話します。それにもかかわらず、彼は良い結果を信じています。何故なら、6時間40分台で走れる3名のチーム仲間を当てに出来るからです。
 彼はここに使命を持ってやって来ました。中台選手は次のように語ります。「日本は今年3月、大震災に見舞われました。被災した人たちのため、日本のために、ここで勝利したいと思います。」
 Greenwood 選手も、雨より暑い方が良いと話します。雨が降るとコースに水溜りが出来、走るのに厄介だからです。彼らは高温には慣れている、逆に言えば真夏に走ってきているからです。
 2度ヨーロッパチャンピオンを獲得し、6時間41分49秒のタイムを出しているスウェーデンの Jonas Buud は、トレーニングは計画通りに進んだこと、速いレースを期待していること、を話します。
 優勝候補で6時間25分47秒のベスト記録を持つイタリアの Giorgio Calcaterra は、当たり障りのない返事をします。自身が言うようにどうなるかは分からないけれど、彼がこのレースで最大限の力で走るだろうことは確かです。
 
中台 慎二 : 真剣に、そしてユーモアを交えて
 
 
戦いの日
 
 運転手がイベント会場に出来るだけ近い場所で降ろしてくれた後、スタート/フィニッシュ地点へと歩きます。1km Runaway はもう始まっていて、多くの人たちが子どもたちを大きな声で応援しています。少年少女たちは、それぞれのクラスで一生懸命走り、勝利を目指す熱意を表しています。聞こえてくる声援からも、かなりたくさんの家族がやって来ていると推測できます。3名の道化たちが陽気に振る舞い、スピーカーはそれぞれのレースに情熱的なコメントを与え、写真家たちは素敵な一瞬を捉えようとベストを尽くしています。
 少し向こうでは、戦いの前のウォーミングアップを行っている人たちがいます。
 
   
 
 スタート近くの場所を探し、「がんばれ日本」と書いたバナーを広げます。100kmのスタートに選手たちが並んだ時、そこが良い場所だったと分かります。日本の男子も女子も、かなりすぐこの応援に気付き、笑顔で親指を立てるサインも返してくれます。その後、コース沿いの違う場所を探して応援した時も、手を振ったりして応えてくれました。微笑みや「Thank you」という言葉も聞こえてきました。応援の言葉が書かれた傘を広げて隣で応援していたロシアのサポーターの女性が、早くも「日本の選手の方が感じがいい。」と言ってため息をつきましたが、それ以上は何も言いませんでした。
 
 

 スタート後かなり早くに、昨日当たり障りなく答えていた Giorgio Calcaterra がリードを取ります。そして続く数時間ずっと、彼はそのポジションを保持します。アメリカの選手たちも、目立って難なく走っています。制御した走りで、後半の50kmで勝利を狙う日本選手たちですが、彼らはそれに成功するでしょうか?気温も湿度も更に上がってきます。そのハードさが、ますます多く選手たちの表情に読み取れます。外見上何の表れもないのは、ずっとリードし続ける Calcaterra 選手です。
 日本の女子選手たちは、出来るだけ長く一緒に走ることを選び、レース中長くこれを保ちます。今夜スポーツホールで女子3チームに授与される、栄誉のメダルを狙っているのは明らかです。
 このとてもハードなレースの終わりに、中台慎二選手が突進し、驚くべき攻勢をかけます。彼に気温は本当に高すぎないのでしょうか?この攻撃は Giorgio Calcaterra を捕らえるのに遅すぎないでしょうか?このイタリアの巨人のリードは、かなりなものです ...
 
 フィニッシュ地点へ急いで戻り、そこで緊張して待ちます。スピーカーは、リードは今なお Calcaterra 選手の手にあることを知らせます。「彼が勝利するのでしょうか?」と上擦った声が叫びます。2分足らずで、それは確かになります。「彼の優勝です。彼の優勝です!」そしてほら、彼はそこにいます。左手にイタリア国旗を持ち、右手には花束を持っています。Giorgio Calcaterra が6時間27分32秒で、100kmの新しい世界-ヨーロッパチャンピオンです。
 それから15分と少し後に Michael Wardian が、同国の仲間 Andrew Henshaw におよそ2分先立ってフィニッシュを通過します。両者はアメリカのトップ選手で、それぞれが自己ベスト記録を数分更新しました。Michael は3分短縮して6時間42分49秒、Andrew は5分短縮した6時間44分35秒でした。
 第4位には6分47分1秒でベルギーの Pieter Vermeesch。中台慎二の息を呑むラストスパートは、6時間48分32秒の第5位をもたらしましたが、自己記録の更新にはなりませんでした。
 
 100kmの

ヨーロッパ・世界チャンピオン

Giorgio Calcaterra
   

 Leeuwarden(オランダ、フリースラント州)の Martin Ketellapper が7時間26分45秒の自己新記録で、オランダチャンピオンシップを獲得します。女子の優勝者、ロシアの Marina Bychkova が、その30秒少々後に続きます。コースの向こう側で先に知り合った傘を持ったロシアのファンの女性の、Bychkova の世界 / ヨーロッパチャンピオンへの勝利にとても興奮した様子が見えます。女子の第2位はイギリスの Joanna Zakrzewski、南アフリカの Lindsay Anne が第3位でした。
 残念ですが Winschoten を後にしなければならず、女子のオランダチャンピオンを、Jolanda Linschooten が9時間37分3秒で獲得するのを見ることは出来ませんでした。
 早い時間に去ったので、国別団体の結果も知ることが出来ませんでしたが、次の日小さなお祝いをしました。日本の男子も女子も揃って団体でメダルを獲得したからです。
 日本選手の皆さんは、持ち帰った銀メダル(男子)と銅メダル(女子)で、Winschoten での世界選手権を思いだしておられることでしょう。
 
 
 
 < 日本から >
 
以下は日本から受け取った大会の印象です。
 
 
 「Winshoten は既に1980年代から3~4年に1度の間隔で100km世界大会を開催しています。洗練された競技運営のみならず、街全体で大会を盛り上げる雰囲気や、世界各国の選手やスタッフへのもてなしも、最高のレベルにあると感じています。
 
 私自身はスタッフとして3回目の訪問です。今回も日本チームはレースで全力を出し切るだけでなく、フローニンゲン周辺の滞在を楽しみました。その結果は、男女とも団体で表彰台に上り、良い思い出ができたと思います。
 このような素敵な経験をさせていただき、大会に関わるすべての方々に感謝しています。」
 
 チームリーダー  井上 明宏  
 
 
 
 「井上さんがチームリーダーとして陸連から委託派遣されたように、私も北海道陸上競技連盟から委託派遣されたスタッフです。これは、日本の世界選手権選考会である「サロマ湖100kmマラソン」の大会運営者として、です。私にとって初めての世界大会でしたが、日本の底力を感じました。
 
 決して良いコンディションではありませんでしたが、日本選手陣は後半ペースを落とさず、前を走る選手を抜いて順位を上げていきました。これは、上位だった外国勢が、前半のハイペースで後半タイムを落としていたのと対照的でした。
 気温の高さを考慮に入れ、一定ペースを守り切る力と、まわりの選手の疲れ具合などの状況を分析する力に優れていると思いました。
 又このコンディションの中、男女とも優勝者のタイムは速かったので、世界のトップレベルも高いと感じました。
 日本チームの中では、特に中台選手が前回の優勝者でありプレッシャーのある中クレバーな走りでした。
 団体では、男子が銀メダル、女子が銅メダルを獲得し、とても嬉しく思っています。」
 
 チームスタッフ  岡嶋 智己  
 
 
 
>>IAU 理事として参加した JUA(日本ウルトラランナーズ協会)代表理事小林荘平氏によるレポート
 
 
 
 
>>写真のページⅠ  >>写真のページⅡ
 
日本の選手へのインタビュー : >>男子 >>女子
 
100km世界選手権の全結果は : >>Run Winschoten
 
 
カメラマン Meijco さんへのインタビュー と 彼が撮影した日本選手たち
 
Run Winschoten 紹介のページへ
 
 
 



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